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1. 上方の春本

噺本

春本・春画の呼称として「笑本(えほん)」、「笑い絵」というものがあるように、この分野の表現と笑いは深く繋がっている。笑話集である噺本の春本が作られたことも、当然と言えば、当然であった。江戸では、特に安永期に、勝川春章や葛飾北斎などが噺本の春本を何点か刊行している。
大坂では、天保期から嘉永期頃、2丁から3丁の小冊子の噺本が出されている。全てが好色的な噺本ではないが、ここに展示したものは、艶笑譚として楽しまれた作品である。
これらの小冊子を、20余部ずつ集め、新たに表紙や目録をつけてまとめたものが『大寄噺尻馬(おおよせはなしのしりうま)』で、大坂の松栄堂本屋安兵衛が、天保頃に初編から三編まで刊行している。