Ise Katagami Gallery Introductionoutside of katagami gallery

京都の株式会社キョーテックには、現在1万7千枚を越える伊勢型紙が保存されている。その数において、日本有数のコレクションである。本コレクションの活用には、これまでもさまざまなアプローチがあったようであるが、全作品のデジタル化は、その膨大さからとうてい不可能とされてきた。

立命館大学アート・リサーチセンターは、文化財のデジタルアーカイブ研究において世界でも注目される成果を上げており、高度なアーカイブ技術を有している。本技術をこのコレクションに適用して、全作品のデジタル化を2009年12月までに実現することができた。本展覧会は、それを記念して企画されたものである。

ise Katagami at Secondlife

アート・リサーチセンターでは、近年は、文化財の中に見出されるデザインに注目した研究が拡大しつつある。陶磁器や漆器などの工芸品に描かれるデザインや、絵画や版画の中の服飾デザインなどの研究分野を連携させる大変魅力的な研究資源として注目している。

海外の著名な博物館には、今回の展示品と同様に魅力的な意匠を凝らした型紙が必ずといってよいほど収蔵されており、頻繁に展示されている。日本では、それに比してその機会が少ないことを遣憾とする。

今回、セカンドライフ上での、伊勢型紙展を開催することができたことは、何よりの誇りとしたい。なお、本展覧会の解説は、アート・リサーチセンターで推進されている文部科学省グローバルCOE「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ」拠点のRA加茂瑞穂が担当した。

末筆になったが、ご協力いただいた、株式会社キョーテックに心からの御礼を申し上げる。

 

立命館大学アート・リサーチセンター

赤間 亮

 

主催:立命館大学アート・リサーチセンター

共催:文部科学省グローバルCOE「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」

所蔵:株式会社キョーテック

解説:加茂瑞穂

企画:赤間亮

展示監修:細井浩一

 

 

about ise katagami ise katagami in real

小紋や浴衣、友禅などの着物の染色のために用いられた「染の型紙」のこと。精緻な文様を彫り込む型彫の高い技術と型紙に表現される洗練された意匠によって日本の服飾文化を支えてきたといっても過言ではない。型紙なくしては、精緻で美しい染物は生み出されなかったであろう。

伊勢型紙は美濃紙を柿渋で貼り合わせた地紙に、専用の彫刻刀で様々な文様を彫り抜いていく。伊勢型紙の発生については諸説あるが、江戸時代後半に型染めの最盛期を迎えたとされる。特に紀伊藩の庇護を受けた伊勢国の白子村、寺家地区(現在の三重県鈴鹿市白子・寺家地区)は、型紙の販売・流通をほぼ独占し、型紙を彫る型彫師が集中していた。型彫師の高い技術により精緻で美しい文様や様々な意匠が生み出され、今日に至るまで高い技術と伝統が継承されてきたのである。

昭和30(1955)年には型彫、糸入れの6名が「重要無形文化財保持者(人間国宝)」に認定された。また、平成5(1993)年には「伊勢型紙技術保存会」が重要無形文化財保持団体としての認定を受け、伊勢型紙の技術の継承と発展に尽力している。

ise Katagami blog

詳しくは伊勢型紙デジタルアーカイブプロジェクトブログへ