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○比目魚と云は鰈の惣名なり 本草釈名 鞋底魚と云は ウシノシタ又クツゾコと云て種類なり 鰈の字これに適へり 若狭蒸鰈のことは大和本草に悉しくいへり 東国にてはヒラメと云 
○鯛は本草に載せず 是亦大和本草に悉し 故に略す 鯛の字此魚に充てつたへしこと久しけれとも是刺鬣魚を正字とす 神代巻に赤目と云 又延喜式に平魚と書しはタヒラの意なり 中にも若狭鯛はハナヲレ又レンコといひて身小にして薄し 色淡黄にして是一種なり ハナヲレの義未詳 他国の方言にヘイケ又ヒウダヒといふも ともに平魚の転なるべし 万葉九長歌 水の江の 浦島が子が 堅魚つり 鯛つりかねて 七日まて 下略 虫丸 

○.鯖〈さば〉
丹波 但馬 紀州熊野より出す 其ほか能登を名品とす 釣捕る法 何国も異なることなし 春夏秋の夜の空曇り 湖水立上り 海上霞たるを鯖日和と称して漁船数百艘打並ぶこと一里ばかり 又一里ばかりを隔て並ぶこと前のごとし 船ごとに二つの篝を照らし 万火☆々として天を焦す 漁子十尋ばかりの糸を苧にて巻き 琴の緒のごとき物に五文目位の鉛の重玉を付 鰯 鰕などを飼とし 竿に付ることなし 又但馬の国にては釣針もなく 只松明を振立 其影波浪を穿がごときに 魚隨て踊りておのれと船中に入れり 是又一奇術なり 船は常の漁船に少し大にして縁低し 越前尚大也 
○鯖の字 和名抄にアヲサバと訓ず 本草に青魚又鯖とあるは カドといひてニシンのことなり 其子をカズノコ ヌカトノコと云 サハの正字未詳 ○サハといふ義は大和本草に此魚牙小也 故に狭歯と云 狭は小也云々 東雅に云 古語に物の多く聚りたるをサバと云へば 若其儀にもやと云々 いづれか是なりとも知ず
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