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AcNo. CoGNo. tkjSG450  AlGNo. tkjSG450_2
絵師: 不詳 () 落款印章: 絵師検索 
判型: 続方向: 作品位置: 001 枚組の 001 番目  01 枚続の 01 枚目
Col重複: 1 All重複: 1
板元文字:  指導監修:横須賀海軍人事部 板元備考: 指導監修:横須賀海軍人事部、企画:日本宣伝研究会、発行:日本宣伝株式会社
出版年月: 昭和20 (1945)・ 出版地:  東京  同時作品
作品名:  海軍志願兵入團双六 
      かいぐん しがんへい にゅうだん すごろく 
      kaigun shiganhei nyūdan sugoroku 
個別解説:■海軍志願兵入團双六の解説 本双六は、昭和20年(1945)、指導監修:横須賀海軍人事部(※1)、企画:日本宣伝研究会、発行:日本宣伝株式会社によって制作された双六である。双六が募集広告として日本で最初に活用された事例といってよいだろう。文字通りのリクルーティング(新兵募集)広告である。本双六は、裏面も含めて、太平洋戦争末期における海軍の人的資源の状況と募集広告について多くの情報が得られるという点で大変貴重である。 本双六の作成年は裏面の「志願者の年齢」の記載から推定できる。 ・昭和19年中に検査をうける者、即ち昭和20年度志願者の年齢左の如し   年齢:14年787ヶ月以上21年未満、生年月日:大正13年12月2日より昭和6年 4月3日までに出生の者  →昭和6年生まれで志願兵になれる最低年齢は14歳なので発行は昭和20年と思われる。 また、本双六の表裏面からは以下のことが分かる。 ・戦争末期の誇大募集広告 昭和20年(1945)は太平洋戦争末期であるが、裏面には「 世界最高の科学の粋をあつめて出来ている日本海軍の艦船兵器は世界一優秀で最強・・」、「わが海軍がハワイ真珠湾に、又マレー沖に、更にソロモン血戦に入っての数次の大海戦を経て遂にブーゲンビル島沖海航空戦であの素晴らしい大成果をあげている・・」などの問題表記情報に満ちている。根拠のない最大級表記や過去の戦績を強調する誇大広告と言えよう。勿論、当時にあっては、ミッドウェー海戦以降以降の大劣勢、日本全土の空襲、硫黄島全滅、ドイツ無条件降伏などの情報を掲載できる由もないが。。。 ・ 人気の飛行士、人手不足の 一般水兵   裏面の『海軍志願兵入団双六の発刊に就いて』には、「飛行兵の志願者が非常に多数を占めているが、一般水兵も絶対に必要なのである・・」との記載がある。表面の募集兵種も一般水兵である。子供にはわかりにくい一般兵種の職務内容をわかりやすく描いているのも特徴である。なお、飛行士も人材不足であったことは間違いない。 ・超低年齢の募集   志願兵になれる最低年齢は14歳である。太平洋戦争末期には、14歳から16歳の少年兵が3,800名ほどいたと言われる。この状況は戦争末期における病理のひとつであろう。身体検査における応募区分も現在からみれば体格が小さいといえるだろう。なお、現在、1989 年に国連総会で採択された「子どもの権利条約」では、兵士の最低年齢は   18 歳未満である。 ・入広告の存在   国による公的な募集広告であるが、国債債券・糖衣理研ビタミン・サール(頭痛薬)・ ノメバ―(胃腸薬)の4つの入広告が入っている。海軍人事部も抜け目がない。 ・日本で最初の双六による募集広告(仮説)   裏面の横須賀海軍人事部課長海軍大佐重廣篤雄は、「この双六はこれ等光輝ある海軍の 軍人たらんとする青少年に対し海軍志願兵に就いてその種々の内容を解かりやすく然 も楽しみながら知識を与えるために特に編纂されたものであります。」と書いている。 募集ターゲットである志願者年齢を考慮し、わかりやすいメディアとして 双六を採 用したことがわかる。 双六の持つ広報宣伝機能が新兵募集に利用されてしまったことは残念というほかない。しかしながら、この双六を見て応募しても、間もなく終戦を迎えたと思われる。 双六の構成を見てみよう(表①参照) ●表面● 主な各マスごとに遊戯(遊び方)の説明があるので、順を追って説明したい。 ①ふり出し 先ず、遊<戯(遊び方)>について以下のように記載されている。 ・自分の好きな兵種(10種)を選ぶ。 ・サイコロの出目が志望の兵種番号になれば志願年齢に進む。出目が合わなければその回は 休み。 →希望する兵種への志望動機が強まるようになっている。裏面の人事課長の言にあるよう に、兵種には飛行兵はなく、一般水兵の募集であることがわかる。 ②志願年齢:兵種によって志願できる年齢が異なる。 <遊戯> ・サイコロを5回振り、出目の合計が志望年齢に達すれば、年齢のマスに進む。合計が達しなければその回は休み。 ・兵種と出目合計の区分けあり。 ・年齢17年以上の者、17未満、16未満、15未満、14未満の5種に分かれる。 ③身体検査:採用される年の12月1日現在で適齢範囲に入っていること。身体検査はそれ以前でも可。 <遊戯> ・サイコロを1回あるいは数回振って出目の合計が志望の兵種番号になれば身長のマスに進む。合計がぴたりでなければその回はお休み。 ④身長 <遊戯> サイコロを1回あるいは数回振って出目の合計が指定の数字(略)にすすめば次に進む。 ・年齢17年以上の者:154cm、17未満:152cm、16未満cm:149cm、15未満:cm145、1 4未満:141cm ⑤体重 <遊戯> 身長の場合と同じ。以下同様。 ・年齢17年以上の者:46kg、17未満:43kg、16未満:40kg、15未満:37kg、14未満:34kg ⑥胸囲 ・年齢17年以上の者:76cm、17未満:75cm、16未満:72cm、15未満:69cm、14未満:67cm ⑦胸囲拡張(胸郭を広げて吸気機能を高める運動) ・年齢17年以上の者:5.52cm、17未満:5.02cm、16未満:5.02cm、15未満:4.52cm、14未満:4.02cm ⑧肺活量 17年以上の者:2900㎤、17未満:2800㎤、16未満:2600㎤、15未満:2500㎤、14未満:2300㎤ ⑨握力 17年以上の者:24kg、17未満:23kg、16未満:22kg、15未満:20kg、14未満:18kg ⑩視力 17年以上の者:、17未満:、16未満:、15未満:、14未満: <遊戯> 各眼1.0。1回振って1が出たら身体検査は全部合格。学科試験へ進む。 ⑪学科試験 読書、数学の二科目。国民学校高等科終了程度。 <遊戯> 身体検査と同様。 ⑫数学 以下の問題をいづれかを選び、その回答が出るまでサイコロを振り、出たら読書へ進む。 イ:3+6-4=、ロ:6÷3+1=、ハ:2×3ー4=、ニ:(10-4)÷2=、ホ:甲隣組では貯蓄債券(※2)20枚を引き受け組内5軒へ3枚を渡し、残りを組長さんが引き受けました。それは何故でせう。 ⑬読書 数学に同じ。合格へ進む。 〇に入るべき字の音を数字で示せ。 轟沈(〇ウチン、翼賛(ヨク〇)、八紘〇宇(〇ッコウ〇ウ)、任務(〇ンム)、双六(スゴ〇〇)、〇分五裂(〇ブン〇レツ) ⑭合格おめでとう! 両親や恩師に報告しませう。 <遊戯> 1回休んで1が出たら入団で上り。 ⑮上り 晴の入団式挙行。入団者は「只今〇〇兵(志願兵種)として入団しました」と報告すること。全員終わったら、第一入団者の下に一同正座して”海行かば”を斉唱して遊戯を終えること。 ●裏面● ①『海軍志願兵入団双六の発刊に就いて』 横須賀海軍人事部課長 海軍大佐 重廣篤雄 尽忠報告の至誠に燃ゆる青少年諸君が米英撃滅のため海こそ決戦場と、海軍に殺到するその意気こそ真に力強く感ずる次第であります。最近に於ける志願兵の状況を一言申上げますと、飛行兵の志願者が非常に多数を占めております。それは、青少年諸君の空の決戦への熱情現れであり、日本男子の面目躍如たるものがあります。然しながら飛行機とても決して搭乗員のみでは戦争は出来るものではありません。航空基地の守備の為にも或いは航空母艦や又それを護る艦船等へ乗組む為にも砲術、測的、水雷、信号、機雷などを扱う一般水兵や電信兵、整備兵、機関兵、軍楽兵、主計兵等も絶対に必要なのであります。殊に一般水兵は攻撃主兵器を担当するもので最も多数を要するものですが、それ等の各兵種がよく均衡を保ち夫々分担した任務遂行し、一致団結、敵に当ってこそ始めて完勝を期し得られる事は言うまでもありません。この双六はこれ等光輝ある海軍の軍人たらんとする青少年に対し海軍志願兵に就いてその種々の内容を解かりやすく然も楽しみながら知識を与えるために特に編纂されたものであります。現在、国家存亡の秋(※3)に当っては遊戯と言えども凡てが米英撃滅ためにあらざるはないのであります。この双六を通じて楽しみの中にも益々米英撃滅への決意を固め立派な海の軍人が出でられん事を待望する次第であります。(終) ②一般海軍志願兵応募心得 ③志願の手続と徴募検査 ④海軍管区表  ⑤帝国海軍艦船(一覧) ⑥入広告(国債債券・糖衣理研ビタミン・サール(頭痛薬)・ノメバ―(胃腸薬) ※1海軍人事部: 海軍省が担当していた軍隊の人事に関する業務を指す。 【海軍省について】旧日本海軍の軍政をつかさどった行政機関。1872年(明治5年)2月28日に設置され、1945年(昭和20年)12月1日に廃止された。 内閣に従属しており、軍政・人事を担当していた。 【海軍の人事権】海軍大臣は全海軍の人事権を掌握しており、理論的には軍令部総長の更迭も可能だった。海軍の現役最高ポストは軍令部総長、海軍大臣、連合艦隊長官の3ポストだった。組織上、連合艦隊長官は軍令部総長の指揮下に入っていた。   ※2貯蓄債券:戦前、日本勧業銀行によって発行された債券である。別名「割増金付き戦時債券」。支那事変による軍備の補充および軍費の支弁のため、国民から資金を吸収する目的で発行された。臨時資金調整法第13条によって、日本勧業銀行(勧銀)が収入金が2億円になるまで発行し得る。 ※3国家(危急)存亡の秋(とき):危難が迫って、現在のまま存続できるか、それとも滅びてしまうかという、重大な分かれ目。「文選」に収録された諸葛亮孔明の「出師の表」文章に由来する。「今、天下が三つに分かれて争っている中で、我が国は疲弊していえる。これは『危急存亡の秋』である」という一節がある。ここでの「秋」は、非常に重要な時期を指す。
系統分類:     画題:  風俗・暮らし  出世・競争・官位・キャリア・仕事・職業   庭訓・学習・善悪・教育・啓発  宣伝・お披露目・広報  武者・武勇・合戦・戦争・歴史 

所蔵:築地双六館 HP  資料部門: 浮世絵
Permalink:
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補助画像有

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