Group Description:文化12年、<3>中村歌右衛門は上坂の名残として、自身の当り役の数々を上演する。その内の一つとして歌右衛門は「妹背山婦女庭訓」のお三輪を勤めた。描かれている場面は、四段目の口にあたる「道行恋のおだまき」。烏帽子折の求女(実は藤原淡海)をめぐり、蘇我入鹿の妹橘姫と、杉酒屋の娘お三輪とが、はげしく恋の鞘当をする場面である。求女とお三輪が持つ糸の苧環は、三輪山の伝承に基づくもの。現行では常磐津や義太夫を地に用いる事が多いが、この時の上演の際には、富本を地に用いた。