Group Description:変化舞踊は、複数の舞踊を組み合わせ、一人の役者が次々と扮装を変えて踊る所作事で、本図の場合は九変化である。ARCにはその内の8枚が所蔵されており、残り1枚は「朱鐘馗」、朱色一色で描かれた鐘馗の図である。他に、この九変化を1枚に3演目ずつ描いた3枚続きもある(参考図)。<2>中村芝翫は<3>中村歌右衛門の養子で、天保7年に<4>歌右衛門となる人物。先代の<3>歌右衛門は変化舞踊を得意とし、<2>芝翫もそれを受け継いだ。本図の九変化はいずれも<3>歌右衛門も踊ったことのある出し物で、特に「文使の娘」から「夕立雷」までは、文化12年・13年(1815・16)に<3>歌右衛門が演じたのと同じ順で構成されている。<2>芝翫は天保4年以前にも、文政9年と文政11年には七変化を、文政13年には九変化を踊っている。
Group Notes:役割番付ではもう一人は「朱鐘馗」。池田にもう一枚があるが、絵は未確認。伊藤友久コレクションに同じ興行の三枚続きの内の二枚目(0984)、三枚目(0985)がある(雨乞小町・雷・越後獅子、契情・座頭・鐘馗)。