Group Description:駿河大納言忠長の息、松平長七郎が大坂日本橋で、馬士を斬って紀州家の御用金を奪ったという話は、実録本などにより巷間に知られた話。寛政6年に大坂角の芝居で上演された「傾城青陽鶏」の五幕目に仕組まれ、以後この一幕のみが独立し、様々な作品に取込まれ盛んに上演された。この作品が取材した明治37年の歌舞伎座上演のおりは、中幕の上として、完全に独立した一幕物として上演された。三七郎信孝が着る着物には、正面摺と呼ばれる紙の表から摺る技法を用いて、絹物が持つ独特の光沢を表現している。尚、信孝の締める帯の橘の模様は、信孝を演じた市村羽左衛門の家紋。