Group Description:春英の落款から天明末ごろの作品と考えられるが、大錦に全身二人立ちという形式は、この時期の役者絵としては珍しいもの。衣装にある分銅の紋から片膝をついている役者が<2>嵐竜蔵、一方この人物に背後から斬りかかる役者は三升に高の字の紋から<5>市川高麗蔵であることがわかる。この時期に2人が同座しているのは天明8年の桐座に限られ、『歌舞伎年表』の天明7年桐座顔見世の高麗蔵の項に「浄るりに竜蔵丈と刃引きのタテ。」という記述があり、この作品の構図から考えると、この興行に取材したものと思われる。