Group Description:着物に描かれた蝶の模様から、曽我五郎を描いたものと考えられる。江戸歌舞伎では毎年春になると曽我狂言が上演されるのが恒例で、二代目市川門之助も安永期に8回、天明期に2回五郎役を務めている。安永8年正月中村座の長唄正本の表紙絵や参考図の団扇絵にほぼ同じ構図で描かれているため、本図の上演年次を特定することができた。本図も団扇絵と同様、左に初代三津五郎の朝比奈を配置する2枚続か。富士山を背景とした、朝比奈と五郎の所作事を描くもので、二人が松を引合うのは、曽我ものの趣向のひとつ、「草摺引」の変形でもあろうか。