Group Description:有名な御家騒動である伊達騒動は、伊達騒動物として多数の芝居を生み出した。その中でも「伽羅先代萩」(安永6年4月大坂中之芝居初演)と「伊達競阿国戯場」(安永7年8月江戸中村座初演)はその代表作であり、両芝居で使われた趣向は明治以後も繰り返し利用されていった。この絵が取材した芝居も、そうしたものの内の一つといえる。<4>市川小団次が演じる仁木弾正は長裃で印を結んでおり、今日でも頻繁に上演される「床下の場」であることがわかる。この仁木弾正は<5>松本幸四郎が当たり役とした役で、現代でも必ず使われ、この絵にも見られる「三銀杏の紋に四つ花菱の長裃」という衣装はその幸四郎の紋を踏襲したものである。