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酒伝童子巻中
扨人々弥々堂のもしく力付て
たけくそいさみける河に付て登
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酒伝童子巻中
扨 人々彌々たのもしく力付て 
たけくそいさみける 河に付て 登
りけるに 年十八九計なる女房 みめ
かたち 人にすくれたるか 河はたに きる
物あらひてゐたりけり 人々寄て いか
成人そとゝへとも 物もいわす たゝ啼より
外の事はなし やゝありて 涙をゝさ
へて申けるは あなおそろしや 如何成
(4)
人なれは 此所へ入けるそや 尋常
の人来る事なしとて 餘の事にて
おそれたるけしきありけれは 人々も
此女房は 鬼の眷属か はけて 我等を
たふらかさんとするそと思ひて 皆々そゝ
ろきてそ覚へける 綱たちよりて 申
けるは いかなる人にておハしますそ 
また此所をは何と申そ、ありのまゝに
語り給へ しからすは爰にて.害〈ガイ〉し奉
らんと云けれは 女房啼々申けるは 我は
(5)
是 都のものにて候か 去年の春の頃
よりとられて すてに鬼の食となるへ
きに ふしきに今迄なからへて候也 都より
取て候女房たちも 三十余人候し 
あひしたしき 国方卿の娘も この
一日より是に候 かやうにおほく取置て
.愛〈アイ〉すへき程あひしてあき候へは 人
屋と云所に入置て 身をしほり 血を出
(6)
して 酒と名付て 是を呑候 ころし
ては肉をきりて .餌〈エ〉食とし候也 又 
八条の辺に 中務と申人の娘を取て
此二三年に成候つるを 今日は
身をしほり 血を出し .息〈イキ〉たへ候へは 薬を
もつて 身をたすけ また今日は わらは
か番に 此きる物をすゝかせ候 我もいつ
かかゝる身となり候わむすらんとおもへは 
かくてあるへしともおほへすとて ふし
(7)
まろひ なきけれは 人々あわれに む
さんに思われけり 頼光 のたまひ
けるは 都よりと仰候へは いかなる人そと
問給へは 女房申されけるは 中御門
の花園のむすめにて候 かやうにあ
ひしたしき女房逹も候へとも たかひに
目を見あわせて おそろしさに言葉
に出 .色〈イロ〉にあらはして 物を申事なし 
(8)
思ひのあまり なき候へは 大なる目にて
にらまれ候ヘは 気もうせ こゝろもきへて 
中々一度に死にたらは かやうにおそ
ろしき目をは見候はし物を 露 命
のなからへて かなしさ おそろしさ 申計
なく候 しかるへくは 各々帰り給は つたへ
てたひ給へ 都の父母 御前のこひし
さいかゝすへきとて ふしまろひ 啼け
れは 頼光の給ひけるは 扨は哀なる
事かな 我等をはいかなる者とか思ひ給
(9)
宣旨を蒙て 此所へおもむきたり 
女房 城の内 鬼住家を 有のまゝに
おしへ給へ 然は鬼を滅て 城をも破り 
女房達を都へのほせ奉らんと たのも
しくの給へは なのめならす悦て うち
とけ給ひける 此川上に 石のつゐち 
大なる門有 内外におそろしけなる
者とも二三十人番して 
(10)
其奥に石
をたゝみ 壇をつき 其上に石の築地
をつき回し 鐵の扉立て 其内の 
四方四角には春夏秋冬を作り 春は
柳桜、東面の戸を開は枝に烏の音
なめらか也 柳の糸を乱しくるかと
みえてこまやか也 花吹風は和にして 
軒端の梅や匂らん 夏は池をほり 
水を入 魚を放 鳥を浮め 冷敷と名
(11)
付 南面の戸を開は 金銀をちりはめ 
玉の柱を立 庭には冷々たり なきさ
には影見えて 水鳥浮木かと覚たり 
秋は萬の紅葉を植おきて 枝折敷と
名付 西の戸を開は 竹の林 其孟宗
か心やかよふらん よろしき月の光の さ
やけきに すゝろに身おやこかすらん 
むしの音にさそわれて 都をおもふ
(12)
涙 草葉の露にあらそひて 袖をしほ
る計也 籠の御前と名付て 夜は
此内に住女房十余人計 番にかわリて 
終夜なてさすられておもふ事なし
あけても暮れても 眷属ともに舞あ
そはせて もてなし かしつかれて 山海
の珍物あきみちて候へは 天上楽と申
とも いかて是にはまさるへき 扨は .御号〈イバラキ〉.桐〈キリ〉王 阿防 羅刹とて 四天王と名付る
(13)
眷属候也 海川をも走渡 岩石をも
くたく 足早手きゝの者也 金熊童子
石熊童子とて 二人の童子あり 大力
のくせ者也 此弐人は身近に居て 
何事にもつかわれ候也 夜は籠の口に
きひしく番をつとめ候也 彼等は鬼
と申せとも 我等か目には 白くこへふとり
いかめしけにて 見めよき大童子
(14)
にて候 君をは酒伝童子と申候 誠 力
つよく いかめしけに候 かやうに をひたゝ
しき中に 木戸と云 石鐵のへいと
ついちを いかんとしてか破入給ふへき 
その外に 眷属ともに番をせさせて 
更に隙なし 何として打給ふへき 
いかなる鬼神と云共 思ひ寄かたし わつか
に六人して 思ひ寄給ふ事不思義也
(15)
去なから 勅.宣〈セン〉を蒙り給へは 天照大神
八幡も真に君を守給はゝ、、なとか宣旨の
かひなからん 一には各の弓矢の運といひ 
仏神の誓願 まことにあるへし 神明
の加護なからん哉 然者 城をも破り
童子をも討給へき事 何の子細候へ
き たのもしくこそ候へと 委 道すから 重々
の木戸 鬼か岩屋にいたる迄 こと/\くお
しへて 女房は帰けり
(16)
去なから初宣を蒙り給へは天照大神
八幡も真に君を守給ハゝおとク宣旨の
かひなからん一には各の弓矢の運といひ
仏神の誓願まことに有へし神明
の処護なからん哉然は城をも破り
童子をも討給へき事何の子細候へ
きたのもしくこそ候へと委道すから重々
の木戸鬼か岩屋にいたる迄ことくお
しへて女房は帰けり
(17) [ 確認待 ]
しへて女房は得けり
十一
アサキ
クン上
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十一
アサキ
わうと
□□
クン上
月日
□や


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□□


□□
去程に川に付て登りけれは大な
類築地有織の門の脇より外には定
る実歌の鬼かと思れは人や人かと
見れは鬼なり眼大に鼻長くおそ
ろしけなる者とも此人々を見つけ
て我もと走出中に取籠てくらは
むやうに有ける人々いきおひをうし
(20) [ 確認待 ]
去程に 川に付て登りけれは 大な
る築地有 鐵の門の脇より外には 異
流異形の鬼かと見れは 人や人かと
見れは鬼なり 眼大に鼻長く おそ
ろしけなる者とも 此人々を見つけ
て 我も/\と走出 中に取籠て くらは
むやうに有ける 人々 いきおひをうし
ない 武心も引替て 菟も角もす
へきやうなし されとも此中にある
者申けるは 暫く靜まるへし 真
に珍き不思儀なる者出来 私には
いかてはからふへき、何様上へ申て
こそ いかにもめされめ 是にてはか
らふならは あしかるへしと申しけれは、しつまりぬ
(21)
同十一日
むやうに有ける人々いきおひをうし
ない武心も引けらへ魂も角もす
へうやうなしされても此中にある
者申けるは哲く静まるへし定
に珍き不思義なる者出来私には
いからくはからぬへき何様上へ申うへ
こそいかにもめされめ是にらへはか
らふならはあしかるへしと申
気れはしつまりぬ
(22) [ 確認待 ]
気れはしにまりぬ
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(24) [ 確認待 ]
(25) [ 確認待 ]
十月 (26) [ 確認待 ]
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クント
真ほとに童子に此よし申気孔は
是を聞大に悦てふし義の存し
かな此間女房はかり置て酒と餅食
にしてなくさみつれとも弥敷も
なし男はほねこはくしゝむらこ
(28) [ 確認待 ]
去ほとに 童子に此よし申けれは 
是を聞 大に悦て ふし義の事
かな 此間 女房はかり置て 酒と餌食
にして なくさみつれとも 珍敷も
なし 男は ほねこはく しゝむらこ
はく 面白所あり 汝等か姿におち恐
なは 其身やせて しゝむら消て 
血も少かるへし 能々すかして
心をとれ また都より来る者ならは 
都の事おも問て みめよき女の
あるかと 委尋ね 先うちに入て置 
明日より 一人つゝ 人屋に入て 能様に
こしらへてまいらすへしと いひけ
(29)
れは これを聞て 門の外へ走出て 
さきにばいかちにせんとしつるに 引
かへて 思ひの外に 敬心よけにみへ
たり中/\ 事外にそおもい侍ける 
扨 内に入て 遠侍のやうなる所に
おきたり
(30)
こしらへてまいらすへしといひけ
れはこれを聞て門の外へ走出て
さきにはいかちにせんとしつるに引
かへて思ひの外に散心よけにみへ
たり中事外にそおもい侍ける
扨内に入て遠侍のやうなる所に
いきへき
(31) [ 確認待 ]
き□□□ (32) [ 確認待 ]
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童子申けるは此者共に同対面
して機分をも心見すかして都の事
共とはん定て我せいたうに恐て
猶くらしわろ飛れて立物たらき
(33) [ 確認待 ]
童子申けるは 此者共に同対面
して 機分をも心見すかして 都の事
共とはん 定て 我せいたうに恐て 
おくし わるひれて有物ならは 
皆々いましめ 一人宛人屋に入へし
何様対面せんと出たり 童子か先仏
とおほしくて 十餘人、眼は三 鼻は
長く 常の人とも覚へす 異類異形
のおそろしけなる者也 大庭に畏 
さて奥の方動揺したむ 風しきり
に吹て 人々身の毛はよたつ きもお
けし侍ける 良しはし有て 日の出
(34)
かことく.輝〈ひかり〉きらめきたるを見れは 高さ一丈
計もあるらんと見へ 髪はかふろに 
白く.肥〈こへ〉ふとり 容顔美麗にして 
年 四十計に見へたる 織物の小袖に 
赤袴をふみくゝみ 童子二人の肩に
かゝり 小尾鹿の歩かことく 左右を見
回し 時々 まかけを指 ゆすめき出
たる景気 事からあたりを拂て 
(35)
.実〈げに〉つたへ聞しよりまさりて おそ
ろしさ申計なし されとも六人の
人々 少もさわく けしき見へさりけり、
(36)
たる景気事からあたりを払て
十月
実つるへ聞しよりまさりておそ
ろしさ申けなしされとも六人の
人々少もさわくけしき見へさりけり
□□
(37) [ 確認待 ]
して

十七
(38) [ 確認待 ]


□□
十七

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□□
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ア共キ
去程に童子人々の居たるに一間
計へたてゝ横さまになをり打笑
てゐけりとかせましかうかせきし
(39) [ 確認待 ]
去程に 童子人々のゐたるに一間
計へたてゝ 様さまになをり 打笑
てゐたり とかせまし かうかせまし
と めを 人あわせて居たりける 童子
申けるは 抑 御辺逹は 何事に此所へ
来給そ 深山といひ 岩石といひ 路かあ
らはこそ 道迷共いわめ 心得すと 四方
をみめくらし 時々まかけを指て見
るに 怖さ申計なし 良有て申けるは 
如何様にも珍 客僧にておはするに 
酒一まいらせよと云けれは 眷属とも 
(40)
承て 大なる物に酒を入持来る 酒と
いふと見れは 人の血也 つゝしみ黒く
して有 童子先飲て 頼光の前に
置 鬼飲と云事の源 是より初ける 
頼光 軈て取て 少もおとらす呑給ふ 
又は保昌の前におく 保昌呑て其
後 綱受侍 一度も臆せす たふ/\と 
請て飲 珍肴や有と云けれは 桐王
(41)
承て 唯今切たると覚て 白うつくし
く 血のまふれたる股に 塩を添て置
たりけり 童子申様、それ拵て 面
々の前にまいらせよと申けれは 頼光
さしよつて 腰の刀をぬき 物気なく
もゝのしゝむらすい切て 塩を付さし 
くい給て ありかたき殊勝也と云け
れは 綱少もおとらすくいけり 余の
人々は 我は 淨行持律の山伏にて
(42)
候とて くはさりけり 頼光 綱の振舞
以外に有けれは 童子つく/\とま
もり 殿原は 酒も肴も心地よくまいる
物哉、只人に非 我等に値遇し給へとそ
申ける 此人々の機根をしらむか
ためにそ もてなしかしつきける 気
色さま/\くるひけれとも 頼光を初として 
皆々 酒の色にもふけらす 童子か
(43)
勢にも恐す 少もをくれたる気色
なかりけれは 童子はさすかにしら
けたる躰
(44)
勢にも恐す少もたくれたる気色
なりけれは童子はさすかにしら
けたる躰
□十二
(45) [ 確認待 ]
十二 (46) [ 確認待 ]
□□
□□
二日
□□
(47) [ 確認待 ]
一□□
□□

□□
十二日
□□
□□□
(48) [ 確認待 ]

頼光の給けるは我等かゐるひに客倶
に気たまむためにさゝいと申物を所
持仕候なにか苦く候へき一度進申さん
(49) [ 確認待 ]
頼光の給けるは 我等か習ひに 客僧
にけたまむために さゝいと申物を所
持仕候 なにか苦く候へき 一度進申さん 
とのたまヘは 童子興に入 悦申ける 
都の酒を願つるに 此御志こそ 有
難覚候とて えみを含て興に入 酒
取出し のませけり 綱 酌に立ける 童子
二三度呑て 快然と成けれは 其後件
の毒酒さし添て 面白くあひしらひ
て強けれは 指受/\ 十度計飲けり 
餘の興にや童子申けるは 我 最愛
(50)
の人々有 よひ出し 都の酒すゝめむとて 
国方卿の娘 花苑のむすめよひ出し 
童子か左右に置たり 扨 件の酒は毒也 
童子次第に酔 心乱 物くるはしく成ける 
盃ひかへて申けるは 各々是迄 御入
実に面白奉思 留申て慰まんとそ
申ける 童子をは いか成者とか思召 
昔より此所に住なり されは眷属
ともに申付 都より能女房逹を迎て 
心をなくさめ 七珍万宝に至る迄 取
寄/\ 呑食楽申計なし 何事に
付ても不足と思ふ事なし 然を 弘法
大師と云ゑせ者に呪咀せられて 此所を
迷出 大峯 葛城方々にこそ目をつか
ひて 命もいかゝあらんと心の隙なく思ひ
つれとも 此ゑせ者 高野と申所に隠籠
籠候、其後ハかゝるゑせ者も候ハて この百餘年
(51)
(52)
此所に住なり 何事に付ても貧しき
事候はす 餘の富貴に都より面白き
人よひ寄て 煩悩の興に 楽つれ/\
のあるに 目に見 耳に聞ほとの物 心に
任せ 取寄/\ 心を養 此女房逹も 近比
都より語候人こそ 多く候へとも 此女房逹
は身か最愛の人にて候 されはいかなる
世の末迄も契を結へし 今よりのち
(53)
何事か候へきと思ひ候へとも 都に頼光と申
くせ者有 古も今も 武威に逹せる者なし 
仁義の道明にして 天下の守也、力 人に
勝 眼に光有て むかふと向ほとの朝敵を滅
さすと云事なし 此ほとも眷属共 常
には申出 治定 此奴原になやまされんと
存候 去なから用心つよくして 眷属
ともに番きひしくせさせ候えは 
いかなる天魔鬼神と申とも 城をは
(54)
やふられ候まし 各見給へ あの城こ
しらへたる様をと申て 又云けるは 
御辺逹を能々奉見に 彼頼光に
似たり あなおそろしや 帽子甲をき
給たるゆへに みむとすれとも見ゑ
さりけり 頼光 心におもふやう さ
れは 此ために翁あたへ給けり 頼光
のたまひけるは 抑 頼光と申者は
(55)
いかなる者にて候そや 初而聞候也 
左様の人ありとは承わらす候へとも 
都ひろく候えは 去事もや候らん 
我等は出羽国羽黒の山伏にて候か 
熊野へ年こもりして 初て都へ
上候 今ハ古郷へ下向仕候か 道にまよ
ひ 是迄参て候と 真しけにのたまへは 
童子 酒の狂乱といひ、興の餘にさ
る事もあるらん 我 通眼をもつて
(56)
人を見るに 少も違はす 御辺の
眼の光 面々つゝみたる色のあり 同
道の人も伝聞 頼光か四天王の者共
に似たる 中にもあの殿は つら 魂
人に勝たりと 綱をさして申けり 
六人は色も損せす 童子は 酒に正念
みたれさるらん 但 何しに此者ともは
来へき 只酒まいれ 面白あそへや
(57)
なとゝ申て なを愛してこそあり
けれ か様に人をもあやしめ 是非を
も云る事は むかし弘法大師に いた
くいましめられし事 やゝもすれは
思出て もしさやうのくせ者か来る
らんと思ひけれは 如此申ける 童子
あまりの事にや かくすへき恥をも
しらす 秘曲共をも顕しけり 童子
(58)
か心能々申あらはしけれは いまは
かうとそおもひける

 
(59)
か心能々申あらはしけれはいまは
かうとそおもひける
二十
□□


うけき
□□
日上同
ちや
同わうと
(60) [ 確認待 ]
白三日
ちや
同日
□□
□□
同十一日
同年
(61) [ 確認待 ]

ゆき
童子また申けるは西白き都人に御
着一申候得と有けれは御号つい立て
たへける
都人いかなるあしのまよひにて
酒やさかなの餌食とはなる
と二三度まひけりゑしきとは此
人々を酒やさかなにせむと云心なり
人々此ことを聞興ある事にそ思ける
綱おもひけるはにくきやつか申事
かな其儀有之は童子百にわらし
(62) [ 確認待 ]
童子また申けるは 面白き都人に 御
肴一申候えと有けれは 御号つい立て 
うたへける
  都人 いかなるあしのまよひにて 
   酒やさかなの餌食とはなる
と二三度まひけり ゑしきとは 此
人々を酒やさかなにせむと云心なり 
人々此うたを聞 興ある事にそ思ける 
綱おもひけるは にくきやつか申事
かな 其儀ならは、童子 酒に狂乱し 
いまは正念も失ぬらん まん中さし
とをし ひるまむ所をおっかけて 頸
をとる物ならは 余の奴原 何事か
あるへき 座敷にて勝負を決せ
むとおもひて はかみをし ほう骨を
いからかし 血眼になり 血筋あらわれ
て 弐尺一寸の打刀に手をかけけれ
とも 頼光見●給てしつめ給ふ 心
(63)
ににらまれけれは 綱しつまりぬ  (64)
同一日
とも猶光見出給てしつめたまふ心
ににらまれけれは綱しつまりぬ
を□□□
□□□

二十
今日
千四
アサキ
アサキ
(65) [ 確認待 ]
十一
千ヤ
アサキ
地白六
□□
□□□
(66) [ 確認待 ]
地白六
□□
又公時は都に聞へたる舞の上手
にて有けれは其時心得之すゝみ
出て申けるは我等なとか御肴一申
さらへは候へきと童子飛かへたる
につゐて兼て舞けり
年を好る鬼の岩屋に春の来て
風や夜のまに吹はふらん
と二三度心計も不及まひけれは童子
聞とれて殊の餘にや詞も聞とかけ
足の端所こゑのおもしろさと計お
(67) [ 確認待 ]
又公時は 都に聞へたる舞の上手
にて有けれは 其時心得て すゝみ
出て申けるは 我等なとか御肴一申
さては候へきと 童子ひかへたる
につゐ立て舞けり、
  年をふる 鬼の岩屋に 春の来て
   風や夜のまにふきはふらん
と二三度 心 詞も不及まひけれは 童子
聞とれて 酔の餘にや 詞も聞とかめす 
足の踏所 こゑのおもしろさ.登〈と〉計お
もひて 興に入てそ見ける 又 広
縁に候ける四天王の者とも 庭に居
たりけり眷属迄も 皆々舞の詞を
聞とかめけり 又 綱おもひ切て有
ける目の色迄も さゝめきつふやきけり 
去とも童子の心にたかはしと しらぬ
よしにてそ有ける 能々もてなし申
せ 面々の御酒に 以外酔狂仕候 そのか
(68)
わりには 此女房弐人をき申候 女房
逹しやく取 御目にかけ申せとて 童子
はすみかへ入にけり 
(69)
勢西々の御酒に以外酔狂仕候そのか
わりには此女房弐人なき申候女房
達しやく取御目にかけ申せとて童子
はすみかへ入にけり

□□
□□□
□□
アサキ
(70) [ 確認待 ]
アサキ
□□□
□□
□□
わうと
千ヤ
地白六
己シシノグ
(71) [ 確認待 ]
□□
わうじ
千ヤ
比白六
己シシノグ
扨四天王御号きり王を釣として
身ちかき程の眷属とも心には打と
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(72) [ 確認待 ]
扨 四天王 御号 きり王を初として 
身ちかき程の眷属とも 心には打と
けぬよしなれとも 童子の心にたか
はしと 酒や肴持て出る者ともも
あり さま/\にあそひて 此人々を
もてなしけり 一時に運のきはまる
所也 此人々 此やつはらはくせ物と
思て 件の毒酒を取出し 種々に
せめ呑せけり 一滴なりとも なとか
酔さるへき 一度呑とおもへとも 座 
(73)
をさらす 狂乱し 臥まろふ 或は
頭をかゝへてにくる者もあり 
やう/\残る者は 死たるかことし 
いかにするともおきあかるへき気色
もなし 抑 女房達申けるは 堀江の
中務と申人は 宝にあきみちて 何
事に付ても貧き事なかりける 
最愛の娘をもちて むこを取て 三
年になる頃 女の血をしほりけれは
(74)
いきたへけるを 薬をもって 又命を
つかせて 此二三日有けるを 今日の肴
に此人の足を出しけり 人こそお
をきに 今日の番にあたりて 肴に
なるこそかなしけれ 
(75)
年になる此女の血をしほりければ
ひきたへけるを薬をもつて又命を
つかせて此二三日有けるを今日の肴
に此人の足を出しけり人こそお
をきに今日の番にあたりて肴に
なるこそかなしけれ
□□
(76) [ 確認待 ]
二三日
は宇と
□□
クンヱ
戸中
四月
(77) [ 確認待 ]
□□
ハウト
大久
地氏
(78) [ 確認待 ]
一四つ
四日
同七日
けん
□□
(79) [ 確認待 ]
□□ (80) [ 確認待 ]
扨武人の女戸方をまねきよせて重々
の木戸岩屋の有様懇にとわれけれは
め戸方達申されけるは此屋つはらの
申つるは童子のうちとけてかゝすへ
□□□
(81) [ 確認待 ]
扨 弐人の女房をまねきよせて 重々
の木戸 岩屋の有様 懇にとわれけれは 
女房逹申されけるは 此やつはらの
申つるは 童子のうちとけて かくすへ
き事をもあらはし いふましき事
をも語り給へるは 只事にあらす 此酒
に身を失ひ 我等をもうき目にあわせ
たまふへし 夜更なは 定而此者共 酒に
ゑひふしなむ 其時 我等よりて かたはし
に討取へし 不然は 手に餘てあしかり
なん 結句 我等いかなる目にもあわむ
やうノ‐、につふやき
(82)
なと やう/\につふやき さゝやき候
つる也 御こゝろ得候へとのたまひけれは 人々
何程の事か候へき 童子こそ 手こは
き物なれ 残の奴原は何事か有へき 
とのたまひけり 扨 二人の女房に
問給ひけるは いかなる人にておはするそ 
是程におそろしき所には 片時も居給
ふ哉とのたまヘは 女房 わらはゝ池田
中納言国方卿の娘にて候 ひとり
子にて候へは 殊更いとおしみおもわれ
(83)
候 母上のもとをはなれまいらする
事も候はす いかゝせんと かたしけな
くかしつかれまいらせ候しに 有夜の
夜半計に 母上の召候と声を 我
めのとの声なりと思ひて いそき出て
候を 道にていたき取しを いか成
人そと申せ共 とむる人もなし 夜
のうちに此所へ来り候 都ちかく候へは
(84)
なとや人の尋もたえてあるへしとも
おほへす候へとも すてに●日に成候 いかに
父母めのと なけきかなしみ候らんと思ふに 
堪てあるへしとも覚えす 女の身ほと 口
おしき事はなし 男にて候はゝ いかにし
てもにけ出 なとか都へ帰さらんと 此間
見もならわぬおそろしき事を見て 
なくさめぬへきもりもなし 父母のこ
ひしさいかゝせんと しかるへくは 今夜は
(85)
ふかく臥ぬらん 我等を引具して 
都へ御登り候へと ふしまろひ かなしみ
給ひけれは 我等は勅定を蒙り 是
迄向て候へは 菟角の計事なかり
つるに 此内へ入て 童子に対面しぬ 
眷属共 心に任せゑわせぬれは 夜の更
を社侍候へ 重々の木戸 岩屋に入候ひ
なは 如何成鬼神なりとも 我等なとか
(86)
打さらむと 誠にたのもしけに
物なくのたまへは 二人の女房 扨は誠
に頼光にてましますか たのもしく
社思ひまいらすれ さらは出立給へ 案
内申て 岩屋迄引入奉らむと
とて よろこひあへり 
(87)
同十一日
なはける鬼神なりとも我等なとか
打さらむと誠にたのもしけに
物なくのたまへは二人の女房扨は誠
に頼光にてましますかたのもしく
社思ひまいらすれさらは出立給へあこ
内申て岩屋迄引入奉らむと
とてよろこひあへり


同八分
□□
アサキ
(88) [ 確認待 ]


同八分
アサキ

クン上
チヤ
地白二
(89) [ 確認待 ]

クン上

千や

せ白く
□□□
寛文六年午ノ
年月十五日所持三谷仁右衛門
(90) [ 確認待 ]
□□□
クン上
千や

四百二十
□□□
寛文六年午ノ
年月十五日所持三谷仁右衛門
(91) [ 確認待 ]
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