Group Description:本作は似顔と紋から〈2〉宗十郎〈3〉団蔵と考えられる。〈2〉宗十郎が江戸にいたのは明和6年度までであり、〈3〉団蔵も明和9(1772)年に死去している。さらに春章の活動期は明和前期頃から始まっているため、かなり期間が絞られる。この期間に二人が同座したのは明和1年度市村、6年度市村。この時の番付と歌舞伎年表を確認すると、可能性のあるものとして明和5.11市村が挙がる。この時黄石公を宗十郎が、張良を団蔵が演じたらしい。この二人の説話は、黄石公が脱ぎ落とした履を拾い捧げ、さらに器量をためされて後、張良は兵書一巻を授けられて、漢の軍師となるというもので、本作はまさにその場面が描かれている。内容に合致していることから明和5.11市村のものと考証する。